財団法人内外財務研究所



研究会レポート
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[本日のテーマ]
? イスラム金融の急成長とその背景

1.日時 平成20年8月5日 ?
2.場所 御堂アーバンライフビル ?
3.出席者 本日のリーダー
出席者
高嶋 信夫((有)オフィス・タカシマ企画)
高瀬 数久(高瀬クリエイト)
声元 通夫(金融ジャーナリスト)
山科 裕 (ビジネスデザイン)

1.イスラム金融とは

? イスラム金融とは、「イスラム教義にかなった金融」のことでイスラム教における規範や法を意味する「シャリア」にかなった金融といわれている。

2.イスラム金融の特徴は

1) 金利という概念がない。
2) 金融取引の関連する事業につき、「シャリア」に反するものは排除される。

3.禁止されている取引

1) 豚肉、アルコール、賭博、武器などの取り扱う業種は禁止されている。 シャリア諮問委員会で審査され、認定される。

4.急成長の背景

1) イスラム金融の世界的な市場規模は05年末で約1兆ドルに上る。
2) イスラム金融取引の需要が増加している。中東産油国の石油輸出額は年間5,000億ドル、域外に投資される金額は年間2,500億ドル。
3) オイルマネーの影響、近年のイスラム回帰への潮流、イスラム圏社会固有の事情、シャリア的確の金融商品の開発が進んでいる。

5.利子に代わる取引形態

1) ムラバハ
? 商取引では商品の買い手(銀行の顧客)の代理となって銀行が商品の売り手から購入し(銀行が代金支払い)、買い手に対して再版する(後日、買い手から銀行に支払う)形式をいう。
売り手からあらかじめ販売価格は定められており銀行にとってはその差額が金利相当となる。 自動車ローン、通信販売等における分割払いや割賦販売等はこれに当たる。
2) イステイスナ
? 工業製品や建設案件に関する指図を踏まえつつ、発注者に代わって銀行が業者に先払いする金融取引をいう。銀行は、顧客の指示を受け、プロジェクト開発業者や製造業者に対して資金提供するもの。
3) ムダラバ
? 出資者の資金をまとめ、事業家(運用者)が資金を投資・運用することで利潤を上げ、それを配当として出資者に配当するやり方。
4) イスラム債券
? イスラム債券(スクーク)は資金調達および運用の両面で市場拡大している。

これからのイスラム金融の展望

1) 日本でのイスラム金融取引は認められていないが、08年12月をめどに解禁となるだろう。
2) みずほコーポレート銀行では、イスラム金融で4,000億円の協調融資でサウジの大型案件に取り組む。サウジ地元銀行と組む予定。
リン鉱石の発掘に協力する予定、取引形態は「イジャーラ」。リース形態に似ている。銀行が一時的にモノを所有し見返りにカネを出す形態のため利払いは生じない。
3) このイスラム金融案件は、日本からは三菱東京UFJ銀行、韓国やサウジ地元銀行も参加する予定。
4) 今まではシンガポールやイギリスが先行しており、わが国は遅れをとっている。中東におけるインフラプロジェクトのために起債されたスクーク債券は資金調達及び運用の両面で市場拡大におおきく寄与している。
5) 規制緩和でイスラム金融の分捕り合戦が始まったといえる。
6) イスラムでは利子を介した取引は禁止されているが、商品を介在させる取引や投資による金融ビジネスで分配金を得ることは許可されている。資金を集めて投資する投資信託業は急成長である。

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